ダンテの生態
ダンテについて、実験や検証を重ねて得た知識をここに記す。
化け物と人
化け物の状態につ いて
記録:研究員A
スライム状で黒くゴムのようなボディを持つ。
様々な形状に変化することができる。
機関員である秋太が初めて遭遇した際、彼は狼のような姿をしていたらしい。
また人型の状態で体の一部のみを変化させることも可能。
具体例
風のように素早く移動する 下半身を馬にする
目の前にいる相手を引き裂く 腕を鋭い爪にする
高い場所に移動する 翼をはやす
ダンテ自身の頭の回転の速さには我々も驚いた。
我々が用意した運動能力のテストを難易度関係なくスムーズに、そして的確に一つずつクリアしていった。
人間に完璧に擬態する人外は国内では数体しかいない。更に不死身の肉体であることは非常に貴重な要素の一つだだ。
また、動物以外にも、一度生身で見たことのある人間に姿を変化させることもできるようだ。
テレビ越しや雑誌に掲載されている人物には変化できない。
だが、我が国の政治家や著名人に変化することはできた。
おそらく、記憶をなくす前の彼が直接見たことのある人物ではないのだろうか。こんなこと、猿でも思いつく発想ことだろう。
一度、長官を通して記憶を失う前の彼について探りを入れるのもいいのかもしれない。
だが、その前に、当面の間は不可能な話だが、許可が下りれば彼を利用して様々な実験や研究を行うべきだと考えている。
正直、彼は利用価値が高い。あの恐るべき能力を目の前で見たときからそう感じていた。
今すぐにでも彼を機関専用の非検体にするべきなのではないだろうか。
人型の状態について
記録:研究員C
彼の監視を務める機関員によれば「記憶の欠落が多くみられる」らしい。認知機能のテストの際、一部の数字のみ読むことができない、ウサギという動物の姿の身記憶していない、そういった類の欠落がある割には言語能力における欠落はほぼみられなかった。
基本的な姿は化け物の状態。つまり、人型でいるということは「常に変身し続けている状態」ということである。
人型を保ち続けるにはかなりの負荷がかかる、というわけだ。
実際、検証の際にどのくらい飲食や睡眠をせず人型を保ち続けられるか試したが48時間しか持たなかった。
彼が強制的に化け物に戻った際、共に検証を行っていた研究員Bが彼に丸のみにされてしまった。かわいそうな研究員B。
ただ、丸のみにした直後、再び人型に戻った。
Bを丸のみにしたときのダンテには意識がなく、そもそも化け物になったことすら覚えていないようだ。
自身の意志で化け物にも他人にもなることができるが、彼の意識がない状態の場合、人を喰らうか、或いは何かしらのショックを与えなければ人の姿にならないのか。
追記:それ以降の検証ではっきりと分かったことなのだが、人を喰らう、或いは意識のない彼が気絶するまで致命傷を与え続けるとスイッチが切り替わったかのように人の姿に変化するようだ。
追記:検証の際に人か人とは違う生き物かどうか、彼の生物的自認を確認したことが数回ある。
毎回「自分は人間だ」と答え続けていた。

生活
食生活について
記録:秋太
以前、僕が彼に料理をふるまった際に腹にたまらないと言われていたので上記の記録を参照したうえで様々なものを食べさせてみました。
その結果"生きている人間から48時間以内に採取した体液のみ腹が満たされた"ようです。(人間なら血液や唾液、母乳など)
乳牛や雌山羊の搾りたての乳よりも人間の体液の方が一番効率よく空腹を満たせていました。
そこで、試しに彼自身の血液を飲ませたのですが、そのあとすぐ激しく暴れまわり、その場で気絶してしまいました。
後日、様々なパターンで検証しましたが、他人の体液以外は受け付けられないそうです。
肉体について
記録:秋太
結論、人の姿の時の彼はほぼ人間と変わりません。
精神に関しては理解しがたいのですが、肉体や臓器の機能は通常の人間とほぼ同じです。脈も心拍数も臓器も肉体的機能も、体を思うままに変化させられること以外は通常の人間と同じと言えます。
また、専門外であるため僕にはわからないのですが、通常の人間と彼が交わった場合、人間が生まれるのか、それとも人外が生まれるのか、そういった繁殖能力的な部分に関しては気になります。
ダンテについて
記録:秋太
見出しの通り、彼についてまとめています。
ダンテ・イリス(仮)
ダンテという名前は本名であることは確認済み。
姓は不明であるため、仮ではあるが彼の住んでいた村の名前をつけた。
現状分かっていることは孤児であるダンテはイリス村の孤児院に15歳までいたということのみです。今後調査しておきます。
一部の職員の間では「彼を非検体にしたほうがいい!ほぼ不死身だし便利じゃん!最高!」といったマッドな意見をお持ちの方がいらっしゃいますが、それはやめておいた方がいいと思います。
僕もできればそうしていただけたら非常にありがたいのですが、こんなに使い勝手のいい非検体がいたら、だれでも欲しがってしまうと思います。
それこそ■■■や他の国、人以外の種族に彼が渡ってしまった場合、人類の驚異になりうるとんでもない兵器になるはずです。